ノード数を固定したときに最も強くなるスレッド数
思考ノード数や深度を固定したときソフトの強さは同じなのか、それともスレッド数に依存して変動するのか検証中です。測定に用いたソフトはTNK_wcsc28のノード数を制限したものと技巧2の思考を制限したもの。レーティング表では両ソフトそれぞれ4スレッドで対局を行ったデータを用いています。その後、スレッド数で強さが違うのではないかという問い合わせを受け調べてみることにしました。開発者側のこれまでの常識は1スレッドで用いるのが一番強いというものだったと思います。以下で見るように、これまでの実験結果はそれとは相反する結果になりました。ただ対局数が全般的に少ないので大雑把な傾向を見る程度の調査だとお考えください。
下のテーブルで、TNK 3k(2)などとあるのはTNK_wcsc28の思考ノード数3000に固定、スレッド数2を表しています。Gikou2 D2は技巧2の思考深度2固定という意味です。技巧2は定跡あり、TNKは定跡なし、Hashメモリはそれぞれ1024MBに設定しています。技巧のスレッド数は4に固定し、TNK側はスレッド数を変動させています。111-0-89 などとあるのは順番にTNKの勝数、引分数、Gikou2の勝数です。Gikou2に続くカッコ内の(0.555)などはTNKの勝率、R38などはレート差、○がついているのは1,2,4スレのうち最も勝率が良かったものです。
TNK 3k(1) 111-0-89 Gikou2 D2 (0.555) R38 ◯ TNK 3k(2) 101-0-99 Gikou2 D2 (0.505) R3 TNK 3k(4) 81-1-118 Gikou2 D2 (0.405) R-65
TNK 7k(1) 93-0-107 Gikou2 D3 (0.465) R-24 TNK 7k(2) 87-0-113 Gikou2 D3 (0.435) R-45 TNK 7k(4) 146-1-153 Gikou2 D3 (0.488) R-8 ◯
TNK 15k(1) 65-0-135 Gikou2 D5 (0.325) R-127 TNK 15k(2) 85-2-113 Gikou2 D5 (0.430) R-49 TNK 15k(4) 137-0-163 Gikou2 D5 (0.457) R-30 ◯
TNK 50k(1) 83-1-116 Gikou2 D7 (0.417) R-58 TNK 50k(2) 89-1-110 Gikou2 D7 (0.447) R-37 TNK 50k(4) 162-0-138 Gikou2 D7 (0.540) R28 ◯
TNK 150k(1) 87-0-113 Gikou2 D10 (0.435) R-45 TNK 150k(2) 99-0-101 Gikou2 D10 (0.495) R-3 TNK 150k(4) 194-1-105 Gikou2 D10 (0.648) R106 ◯
ノード数が最も少ない3000に制限した場合は1スレッドで動かすのが一番強いのですが、ノード数7000くらいでほぼ互角になり、15,000, 50,000, 150,000のように増やしていったとき4スレッドのほうが強くなる傾向にあるように見えます。なお、ノード数3kから150kというのはコンピュータ将棋としては極端に少いことの注意してください。私のサイトでのレート調査では一手15,000k程度用いています。(最初のバージョンでは一桁間違えていました。西野さん、コメントありがとうございます)
棋力的にはノード数3kでもかなり強くソフトレートR1680程度、将棋倶楽部24に換算してR1500-1600, 初段程度あります。ノード数を150kにするとR2900、24レート換算でR3000超になります。